人類史上最大級の革命でマリー・アントワネットや國王ルイ16世、名を轟かす革命家たちと交わり、革命の闇の立役者となった、シャルル=アンリ・サンソンの數奇な運命を描く歴史大河である。
本編は大まかな章に分けられいる。
『イノサン』第1巻から第6巻では、処刑人の一族に生まれ社會から蔑まれ苦悩する少年期のシャルル=アンリ・サンソンが死刑廃止を願いながらも、ロベール=フランソワ・ダミアンの八つ裂き刑などを経て人間的に成長する様子やサンソン家の家族の様子が主に描かれる。(章タイトルはなし)
『真紅のベルサイユ編』(『イノサン』第7巻から『イノサン Rouge』第2巻』)ではルイ15世時代末期のフランスに嫁ぐマリー・アントワネットの輿入れからデュ・バリー夫人との対立、サンソン家とフランス王室との関わりが描かれる。
『蒼葬のベルサイユ編』(『イノサン Rouge』第3巻以降)ではルイ16世即位後の王室の様子、首飾り事件及び、八つ裂き刑に処されたダミアンの遺児・ジャックが率いる竊盜団とマリー=ジョゼフとの関わりが描かれる。
フランス革命に生きた「処刑人」一族サンソン家の數奇な運命を描く歴史漫畫である。安達正勝『死刑執行人サンソン』(集英社新書)が本作品の出典。
本作品では、國王ルイ十六世の斬首刑の指揮を執った実在の死刑執行人シャルル=アンリ・サンソンを主人公にしている。「処刑」「拷問」「解剖」などのエピソードの寫実的な描寫と、人間心理を克明に描く耽美な比喩表現が特徴である。
第17回文化庁メディア芸術祭で審査委員會推薦作品に選出。